兵庫県赤穂市民病院で発生した一連の医療事故をモチーフに、インターネット上で大きな話題を呼んだウェブ漫画『脳外科医 竹田くん』。その主人公のモデルとされる元脳神経外科医・松井宏樹被告(47)の刑事裁判が、神戸地方裁判所姫路支部で進行中だ。2020年1月、74歳の女性患者の腰椎手術で神経を切断し、重い後遺症を負わせたとして業務上過失傷害罪で在宅起訴された松井被告は、2026年2月の公判で起訴内容を認め、「手術の技量がなかった。執刀を辞退すべきだった」と陳述した。
この事件は、松井被告が赤穂市民病院に在籍していた2019年から2020年にかけ、担当手術で複数回の医療事故が発生したことに端を発する。被害者親族が作成した漫画が社会的な注目を集め、民事裁判では約8900万円の賠償が確定。刑事裁判の最新動向と、松井被告の現在の状況を追う。

漫画『脳外科医 竹田くん』の背景
『脳外科医 竹田くん』は、2023年1月から7月にかけてはてなブログで連載された全142話のウェブ漫画だ。作者は当初「脳外科医 竹田くん製作委員会」と名乗っていたが、2025年2月に被害者親族であることを公表。漫画はフィクションとしながら、赤穂市民病院で起きた医療事故と病院内のトラブルをモチーフにしていると明かした。
物語は、技術不足の脳神経外科医「竹田くん」が着任後、次々と医療事故を起こし、病院側が隠蔽を図る様子を描くホラー調の作品。主人公「竹田くん」のモデルは松井宏樹医師、上司のモデルは当時の脳神経外科長とされる。連載当時から実在の事件を基にしたものと指摘され、医療界に衝撃を与えた。
赤穂市民病院での一連の医療事故
松井被告は2019年7月に赤穂市民病院脳神経外科に着任。着任後わずか半年余りで、11件の医療事故に関与したとされる。このうち2人が死亡、複数人に重い後遺症が残った。
最も注目されたのは2020年1月の脊柱管狭窄症手術だ。74歳女性患者の腰椎の一部を切削する手術で、松井被告が執刀。助手として脳神経外科長が模範手技を示した後、松井被告が引き継いだが、止血を十分に行わず視界が不良のままドリルを使用。神経を巻き込み切断し、患者は両脚まひや膀胱直腸障害などの重い障害を負った。
病院側は事故後、松井被告に手術禁止を指示したが、その後も複数回の事故が発生。2021年8月末に松井被告は依願退職した。
民事裁判の判決
2025年5月、神戸地裁姫路支部は患者側が提起した民事訴訟で、松井被告と赤穂市の賠償責任を認め、連帯して約8900万円の支払いを命じた。判決は確定している。
判決では、松井被告の注意義務違反の程度を「著しい」と指摘。止血を怠り、見えにくい状態で手術を続けた点を厳しく批判した。
刑事裁判の最新経過
松井被告は2024年12月、業務上過失傷害罪で在宅起訴。起訴状では、止血不足と不適切なドリル操作により神経を損傷させたとする。
初公判(2026年2月9日)
神戸地裁姫路支部で開かれ、松井被告は起訴内容を「基本的に認める」と述べた。検察側は手術映像を証拠として提出。映像には、出血で視界が不良のままドリルで神経を巻き込む様子が記録されており、鑑定した脳外科医は「信じられない手術視野」とコメントした。
被告人質問(2月12日)
検察側の質問に対し、松井被告は「結局、手術の技量はなかった。辞退すべきだった」と陳述。以前の病院で200例の経験があると主張していたが、実際には執刀経験がなく、観察のみだったことを認めた。被害者への謝罪の意向を示し、「手術は二度としない」と述べたが、医療行為への復帰の可能性は否定しなかった。
松井被告のその後と現在の状況
赤穂市民病院退職後、松井被告は吹田徳洲会病院に勤務。救急科などで診療にあたっていたが、2025年1月から診療業務を外れ、同年10月31日付で退職したことが病院公式サイトで発表された。
2026年2月現在、松井被告の新たな勤務先は公表されていない。刑事裁判は継続中で、次回公判日程は未定。医師免許の処分状況についても、現時点で公式な発表はない。
事件の影響と医療界への示唆
この事件は、医師の技術評価や病院の管理体制、医療事故の透明性について議論を呼んでいる。漫画の公開により、被害者が声を上げやすくなった一方、個人情報の扱いや名誉毀損の境界も問題視された。
患者側は民事判決で一定の補償を得たが、重い後遺症は回復の見込みがなく、日常生活に大きな支障をきたしている。
結論
『脳外科医 竹田くん』をきっかけに表面化した松井宏樹被告の医療事故事件は、刑事裁判を通じて医師個人の責任と病院の監督責任が厳しく問われている。被告自身が技量不足を認め、被害者への謝罪を表明したことは一定の前進だが、裁判の最終的な判断が待たれる。
医療事故の再発防止に向け、専門医の配置や手術適性の厳格な評価が求められる中、本事件は医療界全体に重要な教訓を残すだろう。今後の公判でさらなる事実が明らかになることが期待される。

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